『家業・後継者・個人事業主への専門家派遣日記』② Vol.279

法人営業のDXはまず『Eメール営業』からスタート

◆テーマ:※営業DX初動

□ケース2:計画はある。でも、動く人がいない。  

A部長には後継者としての焦りが感じられた。社長からのプレッシャーもあり、AIに質問をぶつけて対策を練ったりもした。かなりの情報量が得られ、とにかく計画内容だけは作成できたが、現場への落とし込みが今一つはっきりしない。同年代で比較的話が分かる営業課長に話をしたところ、「計画はいいですが、誰も動きませんよ。」とのこと。A部長は「人の動かし方」に強い不安を感じていた。私はそのことを聞いて営業課長を実行担当にしてはどうかと提案をしたのだった。

□A部長の一言:人の動かし方が分かりません。

「正直、営業課長にどう切り出していいか分かりません。計画に否定的なんです…。協

力してくれる気がしなくて。」

□企業背景:典型的な受注産業

・業歴:40年、社員数25名、主要顧客は大手2社(近年売上減少)

・展示会出展目的:新規顧客の獲得

・相談経路:商工会議所の紹介 ・現状課題:個別対応中心、提案営業の仕組みなし

A部長セールススタイル(以下S.S.と呼ぶ)

レシーバースタイル
協調的行動派のスタイル。フォロー営業が得意。新たなチャレンジや開拓などには不向き。にこやかで温厚な雰囲気があり、敵を作らないイメージ。提案や企画面では力不足なので、社内での支援者が必要。今後後継者として経営を担うまでに、自己分析をしっかり行い、自身を十分把握することが先決。展示会戦術を展開する中でそのことに気づけることができればベスト。自分が率先してことを進めるより、周囲をうまく動かして課題を解決するのが得策と思われる。

◆S.S.から判る事業推進上の強みor弱み

  • (強み)フォロー力(お伺い)、人当たりの良さ
  • (弱み)フック力(掴み)、クロージング力(肩押し)、プレゼンテーション力(揺さぶり)。
    突破力・巻き込み力・押し切る力については補強が必須。ご機嫌取りは得意だが人を動かすの は苦手。

今回の課題解決の手順

  1. A部長が前に出ると生え抜きの年上社員から反感を買う恐れがある。
  2. 一人でことを進めるには孤立しがち。
  3. 営業課長を仲間に引き込み二人で作戦を展開する。
  4. 今回も一応は展示会目標のKPIを明確にするが本来の狙いは別のところにする。
  5. 現状の営業プロセスにメスを入れて短期的にすぐ取り組めるところを探す。
  6. 展示会対策を表向きとして、営業改革をスタートさせる。
  7. 展示会での成功は中期目線で達成する。

専門家所感

A部長が行う課題解決の本筋

営業課長とのMTGを、私を交えて行う。その中で私から話をふり、展示会対策の役割分担やすべきことの概要を説明する。表向きA部長に話すようにし、営業課長はあくまで漏れがないようにサポート的な立ち位置でMTGに参加してもらう。MTG終了後にA部長から「今日の打ち合わせはどうだった?」と営業課長に質問をする中で、サポート役をお願いする。営業課長が動きさえすれば年上メンバーが動く心理的土台ができる。

外部から見たキーストーン(要石)

展示会出展による新規開拓は、もとは社長の鶴の一声が原因。ただ、売上が減ってきたので、

単に新規客が必要という発想にすぎず、後はA部長に任せたような感じだ。ただ、現場は業務が

忙しく、そんなことには関わっていられないとの思いがある様子。おまけに後継者候補のA部長に 対しては年下ということもあり多少の反発がある。展示会云々というより、今回のテーマはA部長の人心掌握スキルのアップが本筋。展示会対策は〝名目〟。本丸は 「後継者が人を動かすための布陣づくり」 である。

社内体制のポイント

まずは営業課長を動かし、営業改革をスタートさせる体制に何とか運ぶことが重要。その一環で展示会対策を中期戦略にし、別メニューで短期改善をしながら数字を少しでも確保することが重要だ。この分では私が全員参加の会議に顔を出そうものなら皆の反発を煽るだけのような気がす る。

RACIモデル(役割整理)

責任者(A):責任者(A):A部長、実行担当(R):営業課長(補佐役)、助言者(C):専門家(外 部)、情報共有(I):商工会議所担当。

【次号予告】― □ケース3:展示会後のフォローと営業課長の覚醒編 AIでは作れない、人が動き数字が動く仕組みとは?