『家業・後継者・個人事業主への専門家派遣日記』① Vol.278

法人営業のDXはまず『Eメール営業』からスタート

◆テーマ:※営業DX初動

□ケース1:展示会をきっかけに始まった挑戦

建築資材メーカーA社の二代目A部長は、来春の「建築・建材展」への2回目の出展を控えていた。
前回の出展では手応えが得られず、銀行や商工会議所を通じて「外部専門家に相談したい」とのご依頼をいただいた。

□A部長の一言:展示会で結果を

「2回目は何とか結果を残したいんです。前回は出て終わりで、名刺交換のその後が続かずで。」

□企業背景:典型的な受注産業

・業歴:40年、社員数25名、主要顧客は大手2社(近年売上減少)

・展示会出展目的:新規顧客の獲得

・相談経路:商工会議所の紹介
・現状課題:出展成果が売上に結びつかない、営業体制が未構築

A部長セールススタイル(以下S.S.と呼ぶ)

レシーバースタイル
協調的行動派のスタイル。フォロー営業が得意。新たなチャレンジや開拓などには不向き。
にこやかで温厚な雰囲気があり、敵を作らないイメージ。提案や企画面では力不足なので、社内での支援者が必要。今後後継者として経営を担うまでに、自己分析をしっかり行い、自身を十分把握することが先決。展示会戦術を展開する中でそのことに気づけることができればベスト。自分が率先してことを進めるより、周囲をうまく動かして課題を解決するのが得策と思われる。

◆S.S.から判る事業推進上の強みor弱み

  • (強み)フォロー力(お伺い)。
  • (弱み)フック力(掴み)、クロージング力(肩押し)、プレゼンテーション力(揺さぶり)。

新規開拓に必要なポテンシャルは弱いため、補強が必須。
新しいことにチャレンジする際は 持ち前の現状維持志向が邪魔をするため、自己コントロールも大切。

今回の課題解決の手順

  1. 展示会対策のプロジェクトを社内で立ち上げる。
  2. 前回の検証と反省を営業関係者で共有。
  3. 課題が見えたところで解決策を模索。
  4. 必要であれば1.~3.を進める際に議長役を信頼できる社内メンバーに依頼する。
  5. 4に適当な人がいなければ外部専門家を起用する。
  6. 解決策を外部専門家に委ねるコンセンサスを得る。
  7. 外部専門家提言の優先事項から着手して準備を始める。

専門家所感

A部長が行う課題解決の本筋

実際に展示会を活用して新規開拓を成功させるというのはまだだいぶ先のことになるだろう。まずはA部長の危機感を共有できる仲間を社内に創り出すことが最優先。一人では何もできないし、他の年上営業パーソン(5名)の反発を食らってしまう恐れがある。できればキーマン的な営業パーソンが実行担当(協力者)になってくれるのが良い。

外部から見たキーストーン(要石)

現得意先への営業展開もまだまだ考える余地がありそう。今回の面談だけでは掴めなかったが業務主体の営業スタイルの様子。提案や多種目の製品案内もできそう。まだまだ足元でできることがありそうなので、まずは潜在的な課題を発掘して着手する方が効率的でコスト も掛からず、皆の負担も少ないばかりか意識改革も実現する。

社内体制のポイント

社長はご自身が責任者で、実行担当をA部長とお考えのよう。ここに問題の根源がありそう。
あくまでA部長が責任者となり、実行担当+外部連携の二段構えが良い。A部長は後継者として経営全体を見据え、現場実務の推進には社内の補佐役(営業企画担当)を立て、外部専門家を 進行ディレクターとして活用するのが現実的。

RACIモデル(役割整理)

責任者(A):A部長、実行担当(R):営業企画担当(補佐役)、助言者(C):専門家(外 部)、情報共有(I):商工会議所担当。

【次号予告】― □ケース2:展示会準備と当日の展開 ―