『家業・後継者・個人事業主への専門家派遣日記』⑪ Vol.276

己を知り、営業戦略の第一歩としてステークホルダーを援軍化せよ!

◆テーマ:〝※援軍づくり〟

W営業主任の場合

■業種    IT企業

■従業員数  55名
■業務内容  コンサルティング、企画、実装プログラミング

山田英司 「※エスアイアー(SIer)だっけ!?Wさんの企業って!?」

Wさん   「はい。独立系で開拓もあります。僕はネットワーク系のエンジニアです。」

山田英司 「法人営業ということでいいのでしょうか!?」

Wさん  「はい。メールでお伝えしたようにコンサルから運用保守までです。」

山田英司 「なるほど、かなり広範囲ですね。」

Wさん  「はい。やることが多くて大変です。ところで先生はメンター的なアドバイザーとのことで。知り合いの税理士から聞いたのですが。」

山田英司 「Ⅹ先生ですね。2年ほど前にセミナー営業のアドバイスをしました。私はメンターではありませんよ。営業指導の専門家です。」

Wさん  「Ⅹさんからメンタル面でかなり参考になったと伺ったもので。」

山田英司 「そういえばⅩ先生は私の失敗談にかなりご関心を示されていました。」

Wさん  「僕は今の会社はあと1年頑張って、次はコンサルティング専門の会社に転職予定です。5年以内にはフリーランスでと思っています。」

山田英司 「すごいですね。30歳で独立ですか?」

Wさん  「はい、私の周りも同様の考えの人は多いです。副業を始めている者もいますが、僕はまだ修業が必要なもので。本題ですがオフラインでミニ説明会を開催し、コンテンツ配信して拡散したいです。営業対策としてはどうですか?」

山田英司 「すごいですね。今風の販促かぁ。」

◆現状

Wさんは、法人営業担当のエンジニア。新卒で今の会社に就職され3年目。独立を目指されていて私の20代とは格段に違う。
目下、システム開発の現場担当。手に職をつけながらより上位のコンサルティング業務で独立されるとのこと。
会社を自分のキャリアアップのツールのように考えているご様子で驚きと敬服が入り混じる。
ただ、これはWさんにもお伝えしたが、絵にかいたような構想でまるでYouTubeや誰かの模範ストーリーをそのまま投影しているのでは!?
と少々気にもなった。AIも活用しながら方向性を模索するらしい。 まさに今の時代の人。ただ、危機感もお持ちで今回の出会いとなった。

問題点

ビジネスストーリーは無駄や落ち度もなく素晴らしい。
ただ、法人営業という未知の分野への挑戦に戸惑いもあるようだった。
現状はアカウンターという役目でお得意先の保守業務がメイン。
ご自身はどうもそれを法人営業と位置づけられているようだ。
ただ、本来は新規開拓(接点づくり)や、提案活動(説得機会創出)、契約業務(詳細調整)など、契約締結までは延々と業務が続く。
特にIT系は相手の懐に入り込みさえすれば、仕事は長く続くが、新規開拓のハードルはとても高い。
会社の中だと仕事をこなす経験はできるが、仕事を 生み出す方は学ぶ機会がなく、独立後にいきなりこれを体験することになる。

V部長セールススタイル(以下S.S.と呼ぶ)

ナビゲータースタイル
守備理論派のスタイル。予測力があり時代の流れを機敏に捉え、計画や設計には強い。
Wさんも現状の業務は、自身のスタイルにピッタリハマっているようだ。
私も同じスタイルなので、話していても共感度はかなりのモノ。つい好意的に受け取ってしまいがちだ。
そこで今回はできる限りマイナス点を見出すように努力をした。
一番重要なアドバイスは、計画通りには絶対進まないという点と、その際の検証と修正力が最も大切ということだ。

◆S.S.から判る事業推進上の強みor弱み

  • (強み)世の中の流れを機敏に察知し先読みが得意。物事を計画的に構想し、組み立てて進めることに長けている。
    説明もとても上手で説得力があり、プレゼンテーションでは大活躍できる。
  • (弱み)現実離れした計画立案にならないように要注意。適性上はフォローが苦手なので、継続を意識的に行う必要がある。
    また事前準備は周到。ただやりすぎの面があるので、力を抜きながら相手に合わせて修正する習慣を身につけることも大切。

強みを伸ばし、弱みを補う事業戦略

Wさんにとって、今から始まる新規開拓は経験上とても重要。特にBtoCビジネスとは異なり、人間関係の比重が高く多くの学びがある。
提案力や組み立て力では先走りや思い込みが優先&先行しやすいので、企画はあくまで原案と位置づけ、思考力のみを武器にすると良い。
保守業務など持続する換金サービスへの取り組みは大切。頭と尻尾の両方で経営を組み立てられたら独立後も安定化する。

専門家所感

Wさんご自身について

今風の若者。経験値は少ないが先をしっかり見通し、情報収集力も半端ない感じ。
ただ、すでに※確証バイアスに陥っている恐れがあるので注意が必要。
呑み込みが早く、アドバイスについてすぐ振り返りがあり素晴らしい。まずは自分の考えたことをいち早く実践し、頭を打つ練習が必要。
考えている時間が多くなると行動が止まってしまうので要注意。

外部活用

実践後の検証に外部を活用するのが得策。弱点を理解し、伴走してくれるような専門家や提携者がおすすめ。
特に人的オフライン交流が不可欠。どうしても頭の中で解決できる力やイメージ力が強いので、
実際の行動まで至らないことが多い。たとえロスの動きに思えても欠 かしてはいけない。※補完関係のあるパートナーが見つかれば最高だ。

対策の道筋

ご自身のビジネス設計は正論で素晴らしい。
要は今後試行錯誤が必要な各論での修正力がテーマになるだろう。
SNS活用も法人営業の場合はコンテンツの絞り込みが難しく、オフラインでのターゲットとの出会いの中でテーマを絞り込むのが得策。
BtoCならYouTubeの再生回数や頻度などからマーケティング可能だが、法人営業ではそうもいかないからだ。
直 接会って肌感覚で確かめるのに限る。

※SIer(エスアイアー
システムインテグレーターのこと。システムの企画から運用保守までを一貫して行う企業を指す。システム開発から構築、導入とすべてを請け負うワンストップ型の企業モデル。

※確証バイアス
自身の考えや価値観を裏付ける理論や情報だけを、積極的に集めてしまう心理傾向を指す。
反対意見や異なる思想には、抵抗感、あるいは無意識の軽視や無視or排除するようになること。 

※補完関係
互いに補い合う関係。ビジネス界では異なる要素の協力による相乗効果創出を指す場合が多い。
プロジェクト推進や業務完遂などでは失敗が減り、成功率を上げる効果が期待できる。
山田式ではタイプやスタイルをベースに組み合わせなどを行う。