『家業・後継者・個人事業主への専門家派遣日記』⑦ Vol.272
~己を知り、営業戦略の第一歩としてステークホルダーを援軍化せよ!~
◆テーマ:〝※援軍づくり〟
☆S工場長の場合
■業種 食品加工業
■従業員数 3名
■業務内容 味噌・醤油・その他食品加工品
S工場長 「本日も遠路ありがとうございます。」
山田英司 「こちらこそ、ご依頼頂きありがとうございます。店舗周りの販促物もほぼ完成して益々新規来店が増えますね。」
S工場長 「はい、お陰様でありがとうございます。尚、先日お送りしておりますが本日はご相談テーマに沿って宜しくお願い致します。」
山田英司 「承知致しました。事前のご相談内容のご提示、大変ありがとうございます。」
S工場長 「とんでもありません。法人開拓ですが、初心者なので宜しくお願い致します。」
山田英司 「ちなみに、昨年作成したツール活用はいかがでしたか!?」
S工場長 「はい、お渡ししましたら特にツールの内容ではないのですが、○◆の反応がありました。」
山田英司 「そうでしたか、小さな成果がありましたね。」
S工場長 「これもツールをお渡しした結果と考えて良いのでしょうか!?」
山田英司 「はい。実は法人営業の場合、チラシをお渡しするという行動自体が一種の情報発信に当たるんです。コレって
※返報性の法則というロジックに当て嵌まり、相手に対し何かを発信すると相手からも何かが返ってくることを意味します。」
S工場長 「ではこちらの思惑とは異なるご依頼も十分あり得るということですね。」
山田英司 「はい。むしろそちらがメインの目的と考えて良いと思います。」
◆現状
S工場長は50代。後継者であられるがすでに事業はご本人が主導されている。
店舗の認知効果アップのために、以前、のぼりや日除け幕等一式をご依頼頂き、その効果もあり新規客が確実に増えているご様子。
BtoCビジネスにおいての私の指導は急がば回れ的なじっくり対策が中心だがS工場長はそのアドバイスをしっかり受け止めて頂いている。
しかし、事業成長をするにはやはり売上を上げる必要がある。
そしてそれには法人開拓がとても良いこともお伝えしている。
すでに一般店舗や企業など同社の素材をご利用頂いて いる法人先があり、今年度はこれを拡大させることが目標である。
◆問題点
同社の場合、問題点というと少々大袈裟で留意点としておいた方が良さそうだ。
まず、法人とのお取引はあるが失礼ながらまさに受注産業状態で、提案や開拓という点では今からスタート。
さらに商材ではお値段交渉など、より高く仕入れて頂けるように付加価値をプラスしながら提案する必要がある。
最後にIT活用だ。法人に対しPRするにはITを使った
※プル型営業を継続的に行う必要があるからだ。
まとめると
①法人営業への理解
②商材の化粧直し
③営業スタイルづくり
の3点が必要。
◆S社長のセールススタイル(以下S.S.と呼ぶ)
マネージャースタイル(当社診断結果)
守備理論派の結果であるが、実はこれは※アバタースタイルで本来はフッカースタイルではないかと思われる。
真面目で仕事熱心な方は時にはこのアバタースタイルが結果となるケースがある。
現状の自分をベースにし、より◎▽な自分である方が今の経営には最適という考えがスタイルの結果となって表出される。
但し、完璧に豹変するのは中々難しく、無意識に本来のスタイルが顔を出すのが通例。
そこでアドバイス側は当初のスタイ ル(初めて診断した際の結果)で、指導内容を組み立てる必要がある。
◆S.S.から判る事業推進上の強みor弱み
- (強み)行動力があり、万人を引き付ける魅力をお持ち。対応も丁寧で好感度が高い。
アバタースタイルから推察すると継続することや計画的に物事を進める重要性を感じていらっしゃる。 - (弱み)風呂敷が広がり過ぎないように注意が必要。
新しいことに常にご興味が向きがち であるが、目下実践中のことで十分斬新で素晴らしい点などを繰り返し振り返って頂く必要がある。
◆強みを伸ばし、弱みを補う事業戦略
S工場長は専門家活用がとても上手で、ご相談のタイミングはもちろん、自分に必要なことは何か!?など
毎回的確で驚かされる。法人開拓がまもなくスタートするが、それぞれのお得意先事情を細かく見極め、
丁寧に対応する必要がある。これらの分析手法や顧客別対応などを組み立てることが大切だ。
ただ、一通りご経験され、状況把握さえ叶えばパ ターン化もでき効率化もできると思われる。この辺りがまさに課題になると思われる。
専門家所感
S社長ご自身について
経営スタイルは本当に多種多様で、成功の定義も人によって様々である。
ただ情報化社会 にあってつい世の中に流されがちだが、S工場長は着実に事業を良い方向に導かれる素晴らしい事業家と思う。
効率的開拓手法で売上拡大を進めて頂きたい。
外部活用
的確で上手な方だと思われる。
特に商工会議所のご担当者とのコミュニケーションや情報提供を受ける環境づくりは他の事業者の手本になるほど素晴らしい。
今後、小規模事業者は益々外部活用の必要性が高まる。
伴走、スポット支援、人材教育支援など様々であるが事業者自身が課題を十分吟味し、これらの情報をフル活用し支援体制を確保することが大切だ。
対策の道筋
法人開拓では、以前は足繁く通うアナログ営業がメインだったが今後はEメール活用やオンラインでのDX化が必要となる。
慣れないことが多く大変だが、少ない人材で成果を上げるにはIT活用は必須である。着実に一歩ずつ進めることが重要である。
※返報性の法則
他人から何かを受け取るとそれに対し何かを返したいと感じる心理的ルール。関係構築のベースになる。
※プル型の営業
売り手からではなく、買い手から問い合わせ等を行うように仕向ける営業のやり方。
※アバタースタイル
本来の自分のスタイルとは異なり、何かの目的や目標達成のために敢えて創り出す自分のスタイル。

