『家業・後継者・個人事業主への専門家派遣日記』⑥ Vol.271
~己を知り、営業戦略の第一歩としてステークホルダーを援軍化せよ!~
◆テーマ:〝※援軍づくり〟
☆R社長の場合
■業種 燃料供給業
■従業員数 14名
■業務内容 開発用燃料の調達・保管・アソーティング
R社長 「先生、お久しぶりです。補助金活用でのツール開発時以来ですね。」
山田英司 「そうですね。あれからもう10年ですか、早いですね。」
R社長 「はい同感です。実は今回新規事業を始めようと思っておりまして。失敗しないようにご相談をと思いました。」
山田英司 「成功は運もありますが失敗しないアドバイスには自信があるという私の話を覚えて頂いていたのですね。ありがとうございます。」
R社長 「実はあのセミナー以来、事業で最も大切なことは成功するにはどうすればいいかではなく、いかに大きな失敗をせずに目標までたどり着けるかが重要と思っています。大きな失敗さえしなければ何とかなると思っていますから…。」
山田英司 「なるほど勉強になります。確かにその論理は素晴らしいですね。妙に納得です。」
R社長 「いえいえ元はあのセミナーで学んだことですから。ところで考えているのはソーシャルエンタープライズ(社会的企業)のモデルです。」
山田英司 「それは素晴らしい!ただ私はあまり詳しくありませんが、、」
R社長 「事業の立ち上げに際して、どのような戦力でいかに対応すればよいかをご教授頂こうと思いまして。」
山田英司 「そうでしたか。事業推進の仕組みづくりという重要なテーマですね。」
◆現状
R社長は60代。事業は長きに渡り代々続いている。先代の事業を40代で継がれ、業態変革をされてきた。
私と出会ったのもちょうどその頃。当時はリストラクチャーの連続で広げられた施設やFC展開のお店などを閉鎖され、世の中の流れにうまく対応しながら新たなことにもチャレンジされた。
とはいえ必ず1本筋を通されているのが印象的だった。
コロナ禍には若干数字減少もあったが、経営危機というほどではなかった。
ただ、人のことについてだけは順調に補強ができず、ここに来てメンバーの高齢化の問題がクローズ アップされ大きな問題になりつつある。
◆問題点
ご自身が経営を引き継がれた頃には生え抜きの同年代社員が十分な戦力として活躍していた。
R社長の経営手腕もさることながら彼らの支えも重要な要素だった。
事業変革期に柔軟な対応ができたのは彼らコア人材の頑張りも大きかったのだろう。
ところが、その人材も定年となり、かつてのような柔軟性やモチベーションは期待できず、新規事業を進め るには、まず人問題について方向性を打ち出す必要がある。
◆R社長のセールススタイル(以下S.S.と呼ぶ)
マネージャースタイル(当社診断結果)
守備理論派の性格で日本の経営者に最も多いスタイル。
実は私が関与する経営者にはこのスタイルは少ない。
これはあくまで私見だが、どうもコンサルタントをあまり使わないタイプのような気がしている。
ご自身でサクサクと対応できることが多いからではないだろうか!?
方向性が見え、一定の環境さえ整っていれば粛々と事を進めるのは得意中の得意。
もしかして自己開示が苦手なせいで相談という行動になりづらいのかも。
自分自 身がサポートやお世話が得意な分、自分が受けることは考えられないのかも知れない。
◆S.S.から判る事業推進上の強みor弱み
- (強み)決断さえできれば事を進めるのは得意。それも慎重に失敗なく進められる。
課題があっても持ち前の対応力でこなせるだろう。人への指導やお世話も得意なのでチーム運営もうまくいく。 - (弱み)自分自身の経験や知識に裏打ちされた判断に大いに頼ってしまい、新たな考え方 などを受け容れる力が弱い。
話を聞くパフォーマンスは上手だが意外に頑固。ストレス下では逃避的な行動も目立つ。
◆強みを伸ばし、弱みを補う事業戦略
R社長は今の事業について少々悲観的なビジョンをお持ちのようで事業を魅力的な形に変えることで人が集まってくるとお考えのようだ。
どうもそのための新規事業の模索なのだろう。今の事業を、より社会性の高いビジネスモデルに変えていくというご発想は素晴らしい。
ただ、今の事業も十分魅力がありうまく発信さえすれば、人材採用も夢ではない気がする。
現にクライアントの評価も高い。久しぶりの90分なのでまだ全容は不明 だが、
失礼ながら発信力不足という問題から目を逸らされているような気がした。
専門家所感
R社長ご自身について
事業の行く末を考えた際に、組織づくりのポイントは人である。しかし、中々この人集めがうまくいかない。
かといってヘッドハンティング会社に依頼できるかというと事はそう単純ではない。
今の事業をできるところまで続けながら人集めを見込んで魅力ある新規事業にモデルチェンジし、
ビジネスをアップグレードするというご発想は素晴らしい。しかしそう簡単にはいかない気がした。
ウェブサイトも綺麗に情報整理されてはいるが、冷静沈着なR社長自身を投影したような優等生webだった。
外部活用
私は現在の事業内容を一度徹底的に検証し、強みや弱みの洗い出しをされることをお勧めした。
ご自身の素晴らしい着眼点が功を奏し、事業は長らく安定成長だ。ここ数年少し数字に陰りが出ているようだが、私は単にパワー(活力)不足のせいではないかと思った。社長を含め社員の平均年齢が59歳というのはやはり問題だろう。
新たな風を入れて経営をパワーアップするべきだ。私もそうなのだが年齢を重ねると経験値は増えるが冒険力やハチャメチャパワーは減少する。
対策の道筋
SNS時代の情報発信は、私のような昭和世代には大変だ。
R社長とて同様であろう。コンテンツづくり、※LP(ランディングページ)の活用、
更新頻度の課題など山積みだ。長らく遠ざかっている展示会にもご出展をお勧めした。
私は自社の再分析を外部受託し、潜在する問題に目を向け、
その上で情報発信をフルアウトソーシングすることが同社にとっての最良の着手点ではないかと思った。
※LP(ランディングページ Landing Page)
様々な検索方法によって最初に着地(Landing)するHPを指す。インターネット黎明期ではアドレスを
打ち込んでホームページ(大抵はトップ画面)に訪問したが、現在は検索結果・SNS・web広告など多
種多様な流入経路から訪問者が関心度の高いページに訪れ、それらを作為的に企画することで集客効果 を狙ったりする。

