『家業・後継者・個人事業主への専門家派遣日記』⑤ Vol.270

己を知り、営業戦略の第一歩としてステークホルダーを援軍化せよ!

◆テーマ:〝※援軍づくり〟

Q後継者の場合

■業種    システム開発会社

■従業員数  14名
■業務内容  ソフト・アプリ開発、メンテナンス

Q後継者 「まもなく社長交代で予定通り私が社長になりそうです。」

山田英司 「とうとうその日が来ましたね。」

Q後継者 「はい。お陰様で開発の方は工期遅延とかが大幅に減り、案件も一定の統一化が整い、業務効率も大幅に改善できました。これも先生のターゲット策定についての営業戦略指導のお陰と思っています。ありがとうございます。」

山田英司 「とんでもありません。Q常務の努力の賜物ですよ。」

Q後継者 「いえいえ、実は今日は向こう10年、いや20年先に向けての方向性について先生のご意見を伺おうと思いまして…。」

山田英司 「いやぁ、また壮大なご相談ですねぇ。」

Q後継者 「はい。先生は我々のような小さな会社を中心にご指導されていますので、私が伺いたいことにまさに適任でして、マーケティングとマネジメントについてご感想も踏まえ伺いたいんです。」

山田英司 「そうなんですか!?」

Q後継者 「はい。一つは製造業、特に30名~50名の会社について。もう一つは若手の育成についてなんです。」

山田英司 「なるほど。今後のターゲットの是非を踏まえ、その特性。さらにはターゲットを攻めるためのチーム運営ということでしょうか!?」

Q後継者 「まさにです。」

◆現状

実はPリーダーは後継者候補。以前は大手の製造業にお勤めで昨年同社に戻られた。
社内で最も若く、先輩社員とは20歳近く離れている。
新分野への挑戦も視野に入れられ積極的に改革を進められたいようだが中々社内が動かないことに少々苛立たれている。
そんな中、次回の展示会運営を任された。
この機会を上手く活用して提案営業の体制づくりについても合わせて吟味できれば新たなスタートとなるだろう。

問題点

工場の自動化が進みシステムインテグレーターが台頭した1990年頃から中堅クラス企業のシステム開発と
その後のメンテナンスのアウトソーサーとして長らく安定経営をされてきた。
ただ社員のほとんどが高齢化し、同業務をそのまま引き継ぐにもクライアントも変化をし、
新たな言語対応やさらにはAI活用など市場が激変しようとしているが現状のままでは対応ができそうもない。
共通言語も少ない年上の部下と同じように事業続行するのは難しいと思われる。
また先月、数字の多くをしめる某クライアントが大手に吸収されることが分かったこともあり数字減のリスクも出てきている。

Q後継者のセールススタイル(以下S.S.と呼ぶ)

マネージャースタイル(当社診断結果)
守備理論派の性格をベースとし、その特性の影響を大きく受ける。
日本の経営者に多いタイプで、事業を安定成長させるのはお得意。
現状に改善を加え、より良いモノにする能力は抜群だ。おまけに理論派なので説得力もある。
ただ、イノベーションには弱いのがたまにキズといったところ。
変革時には先が見えない不安もあって否定的になってしまい、方 向性を見誤ることも少なくない。良き先導役が必要と思われる。

◆S.S.から判る事業推進上の強みor弱み

  • (強み)形が見えてくれば遂行力は抜群なので、改善・修正はお手のもの。より工夫を重ねながら、あらゆる方法を駆使して完成度の高い業務をこなせる。
    世話好きで細かい指示や指導もできるのでマネジメント仕事には強い。
  • (弱み)新しいことには引っ込み思案でいろいろ考えをめぐらす割には行動が伴わず一歩が踏み出せない。
    動くより考えるのが得意なので、結果が見えず混沌とした際の スタートは不得意と言える。

強みを伸ばし、弱みを補う事業戦略

Q後継者はシステム構築に関し、経験と抜群の知見がある。これは今後の事業展開に向けて大きな資産となる。
この資産を大いに活用し、次のチャンスを掴むには行動力が必要だ。
多くの人に会い、市場動向を探り、その資産を誰に対し、どのような形で使えばよいかを行動と共に絞り込むのが当面の課題であろう。
今回、〝製造業〟というキーワードを出されたのも、元々お勤めだった会社が製造業であるのが理由のようだ。
モノづくりに関心があられそこで勝負をしたいと考えられた。後は行動力をどうして補うかが課題であろう。

専門家所感

Q後継者ご自身について

今風の若者と言った印象で、優等生的イメージが強い。人当たりもよく部下から慕われるタイプだろう。対応も丁寧で信頼される人に違いない。ただ、行動力という点では少々ポイント不足。新しいサービスなどを見つけても早速試してみるのではなく、他にどんなものがあるのか調べる方に力が入ってしまう。お勉強型とも言えるが、新たな価値を創造しなければならないような挑戦時にはこの特性はマイナスだ。危機が迫りプレッシャーが重なるとストレスのせいでこの特性がより強化されてしまうので、身動きができなくなることもある。できれば少しでも余裕のあるときに事を進める必要があるだろう。

外部活用

今回はターゲットについての絞り込みができたのは素晴らしいと言える。決める作業が苦手であられるだろうが、仕事への想いは強く情熱がこれをカバーしたようだ。今後はそれらを発信し、様々な場面でのプレゼンテーションをスタートする必要がある。そして良い※援軍を見つけるのが先決だ。

対策の道筋

何をどうしていくのかをまず書面にし、事業概要書を作成することが目下のスタートラインだ。
そしてプレゼンテーションの練習。その後は行動あるのみだろう。
まずは自分の考えていることを少しでも多くの人に発信し、賛同者を探す作業になる。
多分Q後継者にとって一番苦手な部類のことかも知れない。そのためには自社の強みを再確認し、自信を持って挑んで頂く必要がある。
誰もが苦手分野に挑戦するのはメンタル面でキツイからだ。

※援軍
 自分に顧客を紹介してくれる相手を指しているのではありません。またビジネスを手伝ってくれる人でもありません。
相手の利害が自分の利害とおおよそ一致し、お互いが同じ方向に向いて進める社外パー トナーのような存在を表します。
互恵関係とも言えます。但し利害の大小は大きな問題ではありません。