(事例検証)『経営力再構築伴走支援』⑪ Vol.264
~負けない小規模事業者の進み方~
◆テーマ:〝人の入れ替わりを無くすチーム作り〟
☆K医院の場合
■業種 クリニック
■従業員数 15人
■業務内容 外来医療(無床診療所)
〇□様 「山田先生、私は最初だけで後はお二方でおすすめ下さい。」
山田英司「この度はご紹介ありがとうございます。」
〇□様 「メールでもお伝えしましたように例の診断の話を覚えていたもので。」
山田英司「いやぁ、ありがとうございます。」
K院長 「はじめまして。あいにく課題は来院促進や知名度アップではないのですが…。」
山田英司「いえいえ、〇□様からのお話で大枠は存じ上げています。」
K院長 「良かったです。実は山田先生のことを〇□さんに伺った際『商品を顧客に売り込むのも会社を人(応募者)に売り込むのも原理は同じ』という言葉がとても気になりまして、早急に人員が必要でリモート相談ということに至った次第です。」
〇□様 「では私はこの辺で…。」(ここで1名ご退出)
山田英司「ありがとうございました。さて、〇□様から伺いましたが、失礼ながら人の入れ替わりが激しいということで…。」
K院長 「恥ずかしながらそうなんです。実はネットへの書き込みも何件かあったもので。」
山田英司「掲示板の件は、色々憶測があるようで言いがかりというのもありますよね。」
K院長 「明らかに投稿がおかしいケースもあると思うのですが、ウチの場合は丁寧な批判と言いますか…。変な話、まともそうなコメントのようで…。」
山田英司「そうなんですね。ではその件は横に置いておいて、取り急ぎ採用強化の対策と中長期的な人材定着化の方向性についてミーティング致しましょう。」
K院長 「はい。その2つが目下の私の重要課題です。よろしくお願いします。」
◆現状
K院長は40代の開業医。大学病院を辞めお父様の病院を改装し5年前に後を継がれた。
地元密着型で患者様も多くいらっしゃるのと、最近、近隣に大きな工場が出来、新興住宅も増えた。
目下、調剤薬局も経営。経営学も学ばれたそうだが、人のことはどうもさっぱ りらしい。
勿論、営業にも無縁で当面は求人と離職者が続いたのが気掛かりとのこと。
◆問題点
私自身、クリニックの関与は数件だが常にコミュニケーション問題がついて回る。
大抵、先生は診察室にこもりきりで、待合とは隔たりがある。この2つを行き来するのは看護師のみ。
K医院も同じご様子。つまり先生は診察室以外の空間はこの看護師に任せきり。
勿論カルテ内容や患者ケアの指示には余念はないがマネジメントや院内コミュニケーショ ンは無法地帯のようだった。
◆K医院の強み
- 若い先生で情熱に溢れ、医院の外見・中身も綺麗に改築され、まさにモダンなクリニック。
- 有名大学のご出身。大学病院勤務のご経歴でこの世界での信頼度は高い。
- 診療に関する評判は良く、新患も少なくない。
◆K医院の弱み
- 外観が良くなった反面、従来のかかりつけ医的利用者が若干減り(シニア離れ)つつある。
- 先生ご自身がクールな印象で先代院長とは対局。アットホームさが薄れてしまった。
- チーム内の※コミュニケーション管理が出来ておらず、少しギクシャクした様子がある。
◆アドバイスポイントと解決の方向性
- K院長に、弊社診断を通しご自身の見られ方や院内チームの全体傾向を掴んで頂いた。
- スタッフに対し半年に一度行われている個別面談の中身を少し改善し、弊社の診断結果をベースに各スタッフのスタイルについてK院長が面談の中で共有するようにして頂いた。
- 今後の良好な医院運営のためコミュニケーション管理の一環で補強すべき人材を絞り、採 用文言も絞り込んだ人材のスタイルに合わせ媒体効果が上がるようにアドバイスした。
専門家所感
院長ご自身について
医師として高いスキルと地元愛があり、家業を継ぎたいという熱い想いがある。ただそのためにはご自身のブランド化も含め、地元密着型の良き相談者になる必要があり、その点をアドバイス。加えてまずは院内を良い雰囲気にすることが大切でありそのことが離職者の防止や、人が人を呼ぶ形で新規採用やひいては患者様への反響も良くなりブランド化も実現するというストーリーとして説明。勿論、短期的な人材補強が命題ではあるがこれも付け焼刃的ではなく中長期的人材戦略をお持ち頂く必要があった。
外部活用
今回は全員に弊社の※コミュニケーションスタイル診断を使用。その上で院内のコミュニケーション傾向をK院長に説明しご納得頂いた。さらに※チーム診断から積極的で好奇心旺盛の看護師(リーダー格)が、つい過剰に他のメンバーに干渉し過ぎる(本人は無意識)ことが協調性の高い温和なメンバーとの間に摩擦を生んでいることが判明。最近採用になった若手も同看護師と似たスタイルでトークが増強され、不満が続出していることが判明。これらは診断ツールや客観的視点でないと中々分かり得ない問題と思われる。
対策の道筋
問題点が見えてきたため、今後、短期的にはこの問題解決に適したスタイルの人材を補強する点や、中長期的には院内のコミュニケーション管理を継続することをアドバイスした。令和時代ではどのような少人数のチームでも上に立つ者がこの管理を怠るとチームにギクシャクが生まれ、現有メンバーの生産性が落ちるばかりか離職者を生んでしまうことになる。
※コミュニケーション管理
チーム長は業務管理や数字管理と同様、チーム内のコミュニケーションに問題が無いか!?コミュニケーションハラスメントは無いか!?
ハラスメント予備軍はいないか!?障害が生まれそうなあるいは生まれつつある関係性はどこか!?などに注意しなければならない。
大手企業と異なり相談機関や利害関係の少ない他部署の相談者がいないような小さな会社こそ管理者が十分に注意しなければならない。
※コミュニケーションスタイル診断
コミュニケーション問題の発掘や、不満防止のために当事者間の課題共有等を目的に弊社で開発したツール。
問診から性格の影響を強く受ける話し方や聞き方の傾向を8つのスタイルに分析し、各スタイル別にコミュニケーションにおける強み弱みを紹介。
これらは業務スキルにも大きく影響する。個人分析が主目的ではなく他者との関係性理解が狙い。
そのため個々の診断結果は簡易にし、関係者同士の共有促進を狙った。
例えば営業シーンでは相互のスタイル理解を前提としパートナー制導入で強力なアウトプットを実証済み。
他には現チームとのスタイル上の相性等を考慮した採用人材の絞り込みにも活用。営業活動と同じく採用ターゲットの絞り込みは成功率を上げやすい。
最近は個々のスタイルの違いで誤解や不信が生まれることもありその方面での利用もある。
※チーム診断
個々のコミュニケーションスタイルをもとにチームの全体傾向を分析。特に違和感や疎外感が生まれやすい関係を過去データより予想し予防措置や問題発掘を行う。
チーム内でのコミュニケーション問題のほとんどが管理者の見えないところで生まれ、直感や経験だけの原因究明は困難に近い。


