(事例検証)『経営力再構築伴走支援』⑨ Vol.262

~負けない小規模事業者の進み方~

◆テーマ:〝家業存続か!?新家業への転換集中か!?〟

☆I店の場合
■業種    青果販売業
■従業員数  4人
■業務内容  店舗販売・近隣卸売り

I店 店主「この度はありがとうございます。」

山田英司「とんでもありません。〇□銀行様とは以前より懇意にさせて頂いておりますので。ご紹介も頂けて私自身嬉しく思っております。」

〇□銀行「こうしてリモートでご相談を受けて頂けるのはとても有難いですね。金額もとてもリーズナブルで。」

山田英司「恐縮です。では早速内容ですが…。」

I店 店主「はい、実は今のお店を来年父からすべて引き継ぐ予定でして…。」

山田英司「代表になられるのですね。それはおめでとうございます。」

I店 店主「ありがとうございます。ただ幾つか問題を抱えています。実はここ数年お店の売上が激減でして、3年前に私の方でネット販売もスタートしたのですが、これと言った数字は未だ期待できずでして‥・。ネット販売専門のコンサルタントの方にもご相談し、色々対策を試みているのですが…。」

山田英司「ちなみに数字減の原因は何か分かっていらっしゃるのでしょうか!?」

I店 店主「お店をリニューアルして近隣の新興住宅地の若いご夫婦の来店を狙っているのですが、どうも上手くいっていない気がしています。」

山田英司「そうなんですね。新規ターゲットへの対策が上手くいっていないのですか!?」

I店 店主「今、先生に話していて気づいたのですが、もしかして新規ターゲットに対策を絞ったこと自体が問題のような気がしてきました。」

山田英司「そうですか!?では一旦リセットしてご一緒にその辺りからお考えを整理してみましょう!」

I店 店主「是非、お願いします!」

◆現状

I店 店主は未だ30代でお若い。まさに※デジタルネイティヴだ。よくよくお話しを伺うと、
同店は近隣のお店への卸売りの構成比が高いことが分かった。
これは法人相手の商売で継続的に数字が上がり、まさに数字安定の素と言える。
無理を言ってご体調が悪い代表にお店が出来た経緯などを伺うと納得できた。
創業当時、今の店舗は無く、飲食店や居酒屋などにお伺いを立てながらこまごまとしたご注文を受けていらっしゃったそうで、
そのうちに顧客から利便性を感じて頂き、電話やファックスでどんどんご注文が来 るようになったようだった。

問題点

  • I店 店主は出来上がった商売を引き継いだせいか、創業の経緯には無頓着なようだった。
  • SNS対策等に偏っているのか顧客特性や地域性に合ったメディアを吟味できていない。
  • I店 店主は弊社の診断で攻撃行動型と判明。動きは抜群だが振り返りや検証分析が苦手 であられるようだ。

◆I店の強み

  • 卸売業としての顧客数が結構ある。
  • 現代表の腰の低い人間味あふれるスタイルが得意先に高感度だった様子。
  • 農家等との直接のパイプも強く、仕入れが充実している。

◆I店弱み

  • I店 店主のアグレッシブルな面が裏目に出て、得意先が話しづらくなっている様子。
  • 常日頃の顔出しや日参など、足で稼ぐ得意先回りが減少している。コロナ以降、お店のリ ニューアル等で融資を受けたこともありI店 店主が少々焦り気味である。
  • ここ数年の仕入れ先農家の高齢化などで内容も変化しつつある。

アドバイスポイントと解決の方向性

  • I店 店主にご自身の強みと弱みをご理解頂き、外部活用の方向性を掴んで頂く。
  • 卸売りビジネスにもご注目頂き、現得意先へ訪問し生の声などを拾い上げて頂く。
  • 今後のご自身の活動と関連した事業計画を数字入りで書面化し完成させる。

専門家所感

店主ご自身について

I店 店主はアクティヴであられ、すぐにアクションを起こされるので素晴らしい。ただ、問題はその後の検証と微調整等をすることでより良い対策が生れるわけだが、どうもそこが出来ていない気がした。未だ社会人としてのご経験も少なく、当面は※メンター的パートナーが必要と思われる。

外部活用

とにかく、I店 店主の話にしっかり耳を傾けて頂けるパートナー的な人が必要。ご自身は頭の回転も速くアイデアマンであられるので、色々考えが浮かばれるようだ。アイデアも斬新であられるので周囲からも期待感を込めての称賛があるが、今後のI店 店主に求められるのは、状況共有の上、継続的に自分の考えを話すことで反芻する機会を創り出すことだ。求められてもいないのにアドバイスをすると反発されてしまう。

対策の道筋

経験の浅い経営者の場合、道筋を間違えないように気を付ける必要がある。モバイルがすべての世代のコミュニケーションデバイスになりつつあるが未だ過渡期であるには違いない。 特に法人営業や法人販促のジャンルでは※アナログ(オフライン)セールスがまだまだ重要なポイントだ。それぞれの環境に合わせたコミュニケーションを選択し、対策を打つことが重要である。同店では卸売り展開の可能性探求、そのための得意先インタビュー、そして対策が王道であろう。この流れさえ出来れば、I店 店主ならすぐに的確な対策が見えるハズだ。

※デジタルネイティヴ
 学生時代、あるいは物心ついた時からパソコンやインターネットがある生活環境の中で育ってきた世代を指し、主に1990年~2000年生まれの人が当てはまる。

※メンター的パートナー
 メンターとは一言でいうと相談者。一般企業では先輩社員などがこれに当たる。
 ただ小規模事業者の場合、先輩と言えば父親だったり年の離れた番頭さんだったりする。
 しかし彼らは元々メンターの存在理由である「価値観の変化」などへの対応策とは真逆の存在である。
 よって当然外部にその存在が求められる。その場合共有するモノが少ない外部関係者は、専門知識だけではなく若手経営者の立場に寄り添える力が必要となる。

※アナログ(オフライン)セールス
 小規模事業者の場合、短期間に売上が急拡大すると大抵はその反動で自滅するか大きなリスクを抱えてしまうことが少なくない。
 私は経験者だからよく分かる。つまり営業や販促も小さいところから順をおって売上が上がっていく方がストレスも少なく、準備も無理なく進められるのだ。
 身近な、周辺の人に  自分の口や簡単なツールを使って一人一人ご案内するのがスタートアップには最適。それがアナログオフラインセールスだ。