(事例検証)『経営力再構築伴走支援』⑤ Vol.258
~負けない小規模事業者の進み方~
◆テーマ:〝生産性向上か付加価値向上か!?〟
☆E社の場合
■業種 金属加工業
■従業員数 16人
■業務内容 部品企画製造・加工
E社専務「本日はリモート面談ありがとうございます。X銀行の〇□さんには社長が大変お世話になっていまして。」
山田英司「そうでしたか!?私も復興庁の結の場という商談会で名刺交換して色々お話ししました。その際に私の仕事内容に大変興味をお持ちだったのでよく覚えています。」
E社専務「では早速ですが、私共の業界は同業が減少傾向でして、高齢化が進むと平行し、廃業する工場が少なくありません。私も後継ぎの身でして…。この先が不安なもので。」
山田英司「ちなみに一人当たりの売上はどのくらいになりますか!?」
E社専務「約3000万円です。決して生産性が高いわけではありません。設備投資をすればもう少し改善もするのですが、受注具合を考えると踏み出せません。」
山田英司「なるほど。ちなみに営業活動はされていますか!?」
E社専務「はい。私と、社長の弟である常務が得意先に出向いています。」
山田英司「新規はどうです!?何か提案などは!?」
E社専務「実はそれが問題だと思っています。私たちはあくまで下請けです。資料でお送りした得意先構成をご覧頂くと1社にかなり偏っていて、あとは似たり寄ったりでして。加工賃の値上げ交渉もままなりません。」
山田英司「そうなんですね。ではまず社の方向性をどうするのか!?決めることが先決ですね。」
◆現状
E社専務は後継者だが現社長はすでに経営を任せつつある。大学を卒業し大手企業に勤め られその後Uターンで同社に入社された。当初は勤めていた会社との違いに戸惑うことも多かったようだが、5年が経ち、ようやく色々なことが分かるようになられた。コロナ禍は大変だったようだが円安の恩恵もあり何とか大きな問題もなくやってこれた。ただここへきて原材料の高騰や、退職者の件などが起こり様々な問題が出始めた。近県の中堅クラスの同業者が得意先にアプローチを掛けているようで心配事も出始めた。
◆問題点
- 受注産業として得意先を守りながら下請けに徹してきたが、受注面で先行きが不安。
- 中堅社員の退職者があり、引き抜きにあったようで社員との関係強化も補強が必要。
- 高齢化が進み、すでに定年を超えた社員が半数になり、人材確保も課題。
- 技術面は高評価だが、経営戦略は現社長に具体策があるわけではない。
◆E社の強み
- 現社長をはじめ加工技術に関しては専門性が高く、独自性もある。
- E社専務(後継者)は青年会議所の催しも積極的に参加し、ボランティア活動などもさか んで社会性が高く人望が厚い。
- 高齢ではあるが熟練の70代職人が複数いて、世代交代が出来れば付加価値を生み出せる。
◆E社の弱み
- これまで得意先の受注に恵まれていた分、攻めの戦略的発想の風土が社内にはない。
- 後継者は前職で工場勤務が中心で営業経験がない。若い割にはIT関係も少々力不足。
- 中間層が退職し、次の担い手が不足している。
◆アドバイスポイントと解決の方向性
- 下請けからいきなり脱却するのではなく、パートナー的な地位への向上を目指す。
- パートナー企業となるための具体策(業務報告の徹底等)を強化し、得意先とのコミュニケーション量(受発注業務上の話題以外)を増やす。
- web等を活用し、得意先の他部署や担当以外の方々にも情報発信できないかを模索する。
専門家所感
後継者ご自身について
守備行動派でとにかく人当りが柔らかく、誰からも好かれる印象。協調性があり年差がある
古参社員との関係も良い。ただ、決断力が弱く、徹底した指示などが今一つ。未来に向けて の決定事項やビジョンメイキングはサポートの必要性がありそう。
外部活用
外部との接点と言えば、銀行や保険の担当くらいで専門家の活用などもご経験がない。今回は長年寄り添っている銀行の担当者が機転を利かせて頂き出会いが生れた。
ご担当の方が復興庁主催の商談会を通じ私のアドバイス内容を生でご覧頂いていたのが功を奏したと思 う。
対策の道筋
小規模企業の場合、失礼ながら無いモノづくしの中で活路を見出すことが重要で、かなり特殊なアドバイスになる。
特に開拓・提案・発信等に関して未経験故に拒否反応を示される社長も少なくない。
今回のケースではE専務の問題意識が大きな原動力になっているのだが守備型である点で※営業活動でのハンデも多いことから、
まずは小さな一歩で成功体験をお 持ち頂くことが重要だ。
※営業活動でのハンデ
弊社では無料の性格診断を提供しているが、診断結果ではまず守備型と攻撃型にタイプが分かれる。
人は性格をベースに基本行動が作られるため、開拓や提案業務では協調性が強い守備型は攻撃型に比べ必ずパワー不足となる。
またこれまでの結果データから守備型が六割、攻撃型が四割の出現率となっている。
このことから開拓や提案シーンでは多くの守備型人材がハンデキャップを持っていることが分かる。
もちろん、攻撃型にも他の展開でハンデはある。

