(事例検証)『経営力再構築伴走支援』④ Vol.257
~負けない小規模事業者の進み方~
◆テーマ:〝強み発見、弱み補強〟
☆Ⅾ社の場合
■業種 印刷業
■従業員数 19人
■業務内容 編集・制作・印刷・広告業
Ⅾ社社長「山田先生は印刷業に詳しいということで、〇□保険の▽□氏からご紹介を頂きましたが、業界とはどんなご関係が!?」
山田英司「実は、かつてはほとんどのクライアントが印刷会社という時期もありまして。元々日本印刷技術協会の専任講師だったり、ハイデルフォーラムというところで講師をしたりしていました。」
Ⅾ社社長「そうでしたか。やはり販路拡大のアドバイスが中心だったのでしょうか!?」
山田英司「はい。新規開拓や提案営業など営業関係のアドバイスが主ですが、印刷会社の場合は私自身深く業界に入り込み、市場開拓や商品開発その他承継問題まで関わってきました。」
Ⅾ社社長 「それは頼もしいです。実は震災後こちらに戻って7年が経ち、手探りの中、昨年経営を引き継ぎました。そんな中、ここ数年印刷需要は急激に減少し最近は広告代理店的なこともやったり、補助金で制作関係の女性スタッフを強化したりしました。ただ回収はまだまだです。」
山田英司「まずは何かに方向性を絞った上で戦略的なアプローチが必要になりますね。」
Ⅾ社社長「はい。いろんな方に相談するとその辺りの言葉を頂き書籍なども読みましたが実際自分がやるとなると…。」
山田英司「中々具体的な方向性を考案するのは難しいですよね。何故具体策を考えるのが難しいのかお分かりですか!?」
Ⅾ社社長「それは考えたことなかったです。そっか!?その理由が分からないと問題解決の方向性も見えませんよね。」
◆現状
Ⅾ社社長は印刷未経験のため技術を勉強しながら、自らも開拓や提案業務を行い、既存客も守るという三刀流。
おまけに印刷市場の低迷で、新たな分野への挑戦も必要。
ところがどこにどのような方法でアプローチするかなどはまさに手探り。同ジャンルに詳しい専門家も見当たらず、相談者がいない中困惑されていた。
さらに今期は大口得意先の倒産が あり売上が大幅に下がる予定で問題解決は待ったなしの状態。
◆問題点
- 印刷に関する知識補強をするも既存ニーズへの対応が中心で新規は期待できない。
- 紙製品を使った商品開発なども補助金を活用し実施されたが成果が出ず。
- 高齢化が進み定年後も契約型雇用で対応しているがそれにも限界が出始める。新市場に挑 むには人材補強も不可欠。
- どの分野に進めば良いか!?などマーケティング知識が無いので具体策も見えない。
◆D社の強み
- Ⅾ社社長が前職で営業経験があり、法人営業には基本知識がある。
- 平成生まれのⅮ社社長はITにも明るい。マーケティング的発想に転化できれば新たな道 筋も見える。
- 制作や編集など細かい人的ソースが充実していてクライアントの信頼も厚い。
◆D社の弱み
- 後継者を含め社内人材は外の情報には疎くニーズの方向性が見出だせない。
- 売り物(受注産業特有の強み)や、価値ある業務についてなど自社分析が出来ていない。
- 後継者以外はお伺い営業スタイルで、開拓や提案を担える人材はいない。
◆アドバイスポイントと解決の方向性
- 自社の強みや今後強化する方向性などを確定させる。
- 上記の準備策としてクライアントからヒアリングを行い同社の強みを洗い出す。
- 制作スタッフや事務員の方々を巻き込みwebやメルマガ等で※インサイドセールスを展開する
専門家所感
社長ご自身について
攻撃行動派であまり細かいことに拘らず「やってみよう!」精神がある。
ただ行動派である分、あらゆることに好奇心が湧いてしまい少々分散しがち。
計画性や集中力補強などをベー スにサポートを行う必要がある。
外部活用
後継者の人間性もあるが、多様なジャンルの外部との関係を創られていて言わば人気者。
ただその影響か対策が混乱気味。とりあえずやってみる精神は素晴らしいが検証や予測も重要な経営戦略の要素。
柱となる方向性を固めるための専門家が必要と思われる。今回は僭越 ながら紹介者であられる同保険会社の状況分析や目利きがかなり良かったと思われる。
対策の道筋
後継者の前職経験やIT力などを踏まえつつ、現戦力で無理なく進め(継続)られ、先の明るい展開が展望できる第一歩を見出すことがポイント。
現クライアントからの情報収集に よる価値検証も十分踏まえることが大切。
※インサイドセールス
言わば令和型の内勤営業。
メール・電話・オンライン等のコミュニケーション手段で非対面(テレワーク)業務で行う。
税理士などの士業事務所では顧客窓口やインサイドセールスを非出社のテレワーカー に担わせるケースが増え始めている。

