『家業・後継者・個人事業主への専門家派遣日記』⑫ Vol.277
~己を知り、営業戦略の第一歩としてステークホルダーを援軍化せよ!~
◆テーマ:〝※援軍づくり〟
☆X社長の場合
■業種 食品加工業
■従業員数 5名
■業務内容 食品製造、加工卸、販売
山田英司 「展示・商談会の参加をご検討とのことですが、出展に関するご相談ですか?」
X社長 「実は毎年の恒例でここ2年ほど、商工会議所さんの勧めもあり、出展していますが、準備やその後の対応の割には成果が今一つでして。」
山田英司 「そうなんですか?でも出展をやめたら法人営業はどうされるのですか?」
X社長 「えっ!?ホウジンエイギョウ??」
山田英司 「はい、展示会へのご参加は法人営業の一環ですよね。」
X社長 「確かに…。相手は法人ですから法人営業ですか!?そういう観点では考えたことなかったです。」
山田英司 「失礼ながらⅩ社長が決してそうだというわけではないのですが、通常の法人営業の大変さをご存じない事業者さんは少なくありません。」
X社長 「‥‥。」
山田英司 「法人営業をする必要性がある方は、展示・商談会がいかに良い機会であるかの価値が分からないんです。」
X社長 「そうなんですね。」
山田英司 「はい。何故なら展示・商談会の場合はほとんどの方がある意味ターゲットですし、おまけに見込み客ですから。」
X社長 「なるほど、そう言われてみればそうかも。」
山田英司 「はい、そういった考えをベースに、これまでの活動を検証し、そのうえでもう一度挑戦するかどうかを検討してはいかがでしょうか!?」
◆現状
X社長は過去に何度か展示・商談会にチャレンジされていらっしゃる。
ただ、多くの小規模事業者がそうであるように、日常業務に手一杯で準備まで手が回らない。
私自身も個人事業主みたいなものなのでその辺りの大変さはよく分かる。日々は、関与先のサポート、
余裕があるときは経理的な仕事や手配関係と、パートの女性社員は事務的なことがメインなので業務的なことは自分がすべてしないといけない。
X社長も似たような境遇だ。
ただ、営業の手は決して緩めるわけにはいかない。刻々と世の中が変化するように現在のお得意先も変化する。
売上拡大という積極的な意味以外もリスク回避の意味で新たな商機を見つける作業を絶やすわけにはいかないからだ。
法人営業という視点で活動を捉え 直し、意識を変えて取り組んで頂く必要がある。
◆問題点
失礼ながらX社長は展示会に出展されることが目的になってしまっている。
そのせいで
「①行き当たりばったりの展開になりやすい」
「②商談での会話が雑談レベルに終始しやすい」
「③せっかく交換した名刺が机の引き出しで眠ってしまう」
「④変なやり切った感だけを味わいやすい」
「⑤労力・時間・展示やサンプルの材料費コストの割には回収できないので印象が悪くなる」
という状態になりやすい。展示会や商談会は「ゴール」ではなく「入口」に過ぎず、そこから法人営業につなげてこそ投資が回収できる。
誰に・何を・ど う伝え、どうフォローするかを予め計画していなければ、成果は期待できない。
◆X社長のセールススタイル(以下S.S.と呼ぶ)
攻撃行動派スタイル。
攻撃行動派のスタイル。好奇心旺盛で新しいことに果敢にチャレンジするスタイル。
目下新商品の開発に仲間と取り組まれたりしている。バイタリティもあるので、仲間を引き寄せるパワーもすごい。
ただ、計画不足でKPI面での取り組みが少し弱いかも知れない。話を伺うと過去3年ほどの間でのご出展等で名刺を800枚ほどお持ちとのこと。
ただ、その名刺のメールアドレスに1件のメールも送られていないよう。
もちろん見積り依頼やサンプル提供など業務に関するやり取りは20件ほどあったよう。
受注もあったようだがその辺りの数字も定かではないのはまさに攻撃行動派らしい。
◆S.S.から判る事業推進上の強みor弱み
- (強み)積極的でアクティヴ。行動量も多く快活な印象なので好感度が高い。そのためお知り合いも多く、まさに人気者といえる。
チャレンジ精神旺盛で新しいことにも情熱的に取り組める。 - (弱み)好奇心旺盛の反動で、興味が散漫になり、色々手を出すがモノにならない恐れが ある。
持続力も弱いので、細かい検証や振り返りもないまま早期に諦めてしまうことも少なくない。
◆強みを伸ばし、弱みを補う事業戦略
X社長にとって展示会出展は格好の機会といえる。強みを最大限に発揮できる良い場ともいえるからだ。名刺の獲得枚数をみても明らか。ただ、営業活動に力を注ぐ時間はなく、見込みのない相手に日参営業など出来るはずもない。しかし、法人営業(情報発信)は不可欠。このジレンマを埋めるのはDXを駆使した省力化営業だろう。リアルで得られる出会いの機会を最大限に活かす営業スタイルをDXで作り上げる必要がある。
専門家所感
X社長ご自身について
50代を目前に控えたX社長はデジタルネイティヴというよりむしろ私のような昭和型の感性に近い。
名刺はソフトを使ってすべてスマホに取り込みデータベース化はされているが、活用は電話帳レベル。勿体ない。
フェイスブックやインスタもたまに私用レベルで投稿はされているご様子だが、
私が提案したEメールを使ったフォロー営業からのスタートについては今一つピンとは来られていないご様子。
外部活用
新しい加工機も導入され、加工面ではユニークな取り組みもされていて、情報発信ネタはありそう。
データベースを整理し、メール配信ソフトで情報発信をスタートすれば必ず成果が出るハズ。
単にⅮⅩを導入するというのではなく、「法人営業をする」という大きな目的を柱に、できる限り負担の少ない形で、
「再現性のある仕組みをどうやって作るか!?」そし て「いずれは自分の手から離れ誰かにその仕組みを任せて行く」というのが課題だ。
対策の道筋
展示・商談会の効果について考え始められたのは、法人営業についての考えをもう一段階レベルアップさせる良いチャンスといえる。
今回、宿題としてフォロー営業にトライする提案をした。
一緒に過去に名刺交換をしたバイヤーや市場担当者を10件ほどピックアップし、
そこに対し私が原案を書いたメールを送ってみようという企画だ。スマホではなく、
PCに向かって名刺のメールアドレスを入力し、宛名を書いてメールをするのは結構面倒な仕事だ。
ただ行動さえして頂いたら色々分かって頂けることがあると思う。


