『家業・後継者・個人事業主への専門家派遣日記』② Vol.267
~己を知り、営業戦略の第一歩としてステークホルダーを援軍化せよ!~
◆テーマ:〝※販促の基本〟
☆N後継者の場合
■業種 食品加工販売&卸業
■従業員数 2名
■業務内容 店舗販売・飲食店等法人向け卸し
N後継者 「はじめまして、◎△様からも『先生に是非相談したらいい!』と助言を頂きまして。」
山田英司 「そうでしたか…。◎△様とはかれこれ6年近くのご縁になります。昨年も販促関係のツール類を一式ご用意させて頂きました。
身近に応援者がいるのは素晴らしいですね。」
N後継者 「ありがとうございます。そこで当方もお店の販促強化を考えているんです。」
山田英司 「そうなんですね。今までは何かやられたことがあるのでしょうか!?」
N後継者 「ウチは比較的交通量のある道路に面していて以前はのぼりなどを付けていた時期もありましたが今は全く…。」
山田英司 「そうですか。ではまずはお店を知って頂く必要がありますね。」
N後継者 「はい。販促物などもデザインが重要と思っていまして◎△様も山田先生にご指導をお願いした結果反響があったと伺い、どのようなモノが良いかも相談したいと思います。知り合いの事業者は〇〇万円ほどかけて有名なデザイナーにお願いしたらしいのですが、マーク等を見させて頂いてあの値段でこれかぁと、ちょっとウチは違うような気がしました。」
山田英司 「結構お高いんですね。」「そのデザインが悪いというわけではないのですが、やはり小規模事業者の場合、ロゴやマークなどのデザイン性よりも『集客や売上アップに貢献するデザイン(※営業目線の編集)』でないと駄目だと思います。」
N後継者 「ご指摘、まさに同感です。ではどのようなデザインが??」
◆現状
N後継者は30代で元々他の企業でお仕事をされていたが、最近家業を継がれた。バイタリティもあり、問題意識も人一倍で頼もしい後継ぎであられる。
すでにお仲間の援軍もお 持ちのようだ。営業パーソン(法人営業)としてのお仕事経験があられ、面談や交渉事にはご経験も豊富な感じだ。
ただ、店舗経営や集客(販促)などは未経験。考え方などは白紙と言える。今後は店舗運営に軸足を置かれるようだが、お店の魅せ方や一般消費者向けのPRは法人営業とは全く異なりこの辺りはトライ&エラーが必要であろう。
◆問題点
一般消費者向けのPRや販促の場合、顧客目線を考えることが重要。
きめ細かい情報発信を始め、店舗内での接客や提案など丁寧なコミュニケーションが必要と言える。
問題とい うわけではないが、今後一定の期間これらの経験を積まれることが大切かと思われる。
◆N後継者のセールススタイル(以下S.S.と呼ぶ)
リーダースタイル(当社診断結果)
攻撃理論派の性格をベースとし、その特性の影響を大きく受ける。
統率力があり、頼りがいがある印象。開拓活動を始めプレゼンテーション・契約等では大きな力が発揮できる。
但し、フォロー活動やお伺いなど行動主体の活動は苦手。ヒアリングなども注意が必要。
◆S.S.から判る事業推進上の強みor弱み
- (強み)新市場開拓など大いに力を発揮できる。戦略的な思考で事業推進は得意。統率力もあるので、チームを引っ張っていく力も強い。
- (弱み)情報収集力が弱く、思い込みが強くなりがち。相談や意見交換の機会を頻繁に作 り、偏りを防止することが大切。
◆強みを伸ばし、弱みを補う事業戦略
◎△様という援軍のアドバイスはN後継者が新たなノウハウを得るキッカケを作った。
ただ両者の間には調整役の商工会議所のご担当がいたことも忘れてはいけない。
事業者状況を察知し、最適な専門家をあてがうご担当も重要な援軍である。
支援予算を持つ彼らの応援を得て、補助金や専門家活用で当面は事業を推進するのが大切だろう。
専門家所感
N後継者ご自身について
ご本人は良いと思う事を即実践しようという決断力がある。
ただ、それは自己の強い部分が影響していることを常に考え、まずは目前の行動に目を落とすことが大切。
目標設定力は抜群なので、時系列の展開や※リスクの少ない着手点からのプロセスなどを常に考える癖付けが大切かと思われる。
外部活用
ご自身の偏りがちな決断について意見交換等を行う機会を多く作ることが大切。決断力や実行力のパワーが強い分、対策が正解の場合は良いのだが外してしまった場合かなりのリスクを背負うことになる。普段から専門家などと〝確認〟〝相談〟〝意見交換〟などの機会を持ち、自己の意思決定のパターンを再構築することが大切。
対策の道筋
今回は店舗内での情報発信用のツールを開発することがおススメ。
「消費者にはまず何を伝えることが大切か!?」
「どのようなコンテンツなら目にとまるか!?」
「その後に繋がる対策とは!?」など、
すべて相手目線で考えることが大切なので、ご自身にとって良い訓練に なる。
※営業目線の編集
私は印刷会社のデザイナーにも『PR』や『販促』について講義などしている。
一般的なデザイナーは〝編集〟には長けているのだが、〝営業活動〟に関する知識を持っていない。
そのため
①多様なPRコンテンツの中で最優先されるPRすべきテーマとは何か!?
②同情報をどのくらい少ないコピーやビジュアルで分かりやすく伝えられるか!?
③クライアントの意に反し、可能な限り優先度の低い情報を削ることが出来るか!?
などが解決できていない恐れがある。私はこれを営業目線の編集と呼んでいる。
特にクライアントはPRポイントが絞り切れず情報露出の優先順位化ができなくなっている場合が多いので、この点は支援側のサポートが不可欠であろう。
※リスクの少ない着手点
『着手点』とは最初に取り組む対策のことである。営業or販促活動をスタートする場合に、最も大切なことがこの着手点〝選び〟だ。
これにはあと2つの〝着〟が関係する。それは『着眼点』『着地点』だ。
まず着手点だが、できる限りコストを抑え、学びが多い対策が良い。
実行者のほとんどが営業or販促のプロではないので、活動しながらノウハウを学んでいく必要があるからだ。
特に本人は何が分からないかが分かっていないので、学びには当然失敗も含まれる。
よってスタート時はトライ&エラーが大半を占める。この時点でコストが掛かっていては幾らお金があっても足りないからだ。
今回のN後継者の場合は〝顧客目線〟という着眼点がポイント。
手渡しによる顧客の反応が着地点だ。実行すれば必ず手に 入る結果なので学びも多い。

